ヒトの噛む力は大変、大きく成人では40㎏~60㎏と言われています。おおよそ自分の体重と同じくらいの力がかかっています。
また睡眠中にギリギリと音を立てて歯ぎしりをされる方がいますが、その場合は1本の歯に250㎏の荷重が加わっています。このように大きな力が加わり続けると、歯や歯ぐき、顎関節などに負荷が加わり悪影響を及ぼすのではないかということは容易に想像できると思います。
最近、弱い力で上下の歯が長時間、接触している状態は、歯などに悪影響を及ぼすと言われています。この状態を上下歯列接触癖(TCH:Tooth Contacting Habit)と言います。普段の日常生活では、食事をする時、会話をする時、また何もしていない時でも上下の歯が接触しますが、それは時間になおすと20分位です。
弱い力であってもこれが長時間続き、負荷が積み重なっていくのが問題となるのです。この積み重なった力の総和が、個人の許容できる力の総和を超え過負荷(オーバーロード)となった時、歯、歯ぐき、顎関節などに問題が生じてしまいます。
TCHでは以下の症状が出現したり、症状が悪化してしまうことがあります。
①歯がすり減る
②被せ物や修復物の脱離
③顎関節症
④歯周病の進行(歯の動揺)
⑤歯がしみる
⑥歯にひびが入る(歯根破折)
⑦咬んだ時の違和感
次はTCHの治療について説明します。