歯科用レーザーって何?① (歯周病編)

現在、歯科治療においても歯科用レーザーが幅広く利用されています。しかし一般の方には、レーザーの光を想像することはできても、レーザーがどのように歯科治療に応用されているのかについてはなかなかわかりにくいと思います。

歯科用レーザーには何種類かあり、それぞれに特徴がありますが、ここでは私が普段、使用しているEr:YAG(エルビウム・ヤグ)レーザーについて説明したいと思います。このレーザーの特徴を一言で表すとしたら、「痛みと振動が少なく、人にやさしいレーザー」ということです。

○殺菌効果が期待できる
歯周病に罹患すると歯ぐきが腫れたり、歯ぐきから膿が出たりすることが見られます。これは歯周病菌が歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の部分)内で増殖し、炎症が起きていることが原因です。このような場合、レーザーの熱作用による殺菌効果を利用するため、歯周ポケット内にレーザーを当てていきます。これによって歯周病菌を死滅させ、歯周ポケット内の環境を改善していきます。熱作用を利用するわけですが、組織の表層にしか伝わらないため痛みはありません。

○蒸散効果がある                                                          歯周病の治療においては、歯の根っこの部分についているバイオフィルム(水垢のようなもので細菌の集合体)や歯石を除去することが必要です。従来はスケーラーとよばれる鎌形の器具を用いて、バイオフィルムや歯石をかきとるようにされてきました。このレーザーの場合は、照射されたレーザー光が歯石などに含まれる水分にエネルギーが吸収され、ミクロの水蒸気爆発が発生します。その物理的な力によってバイオフィルムや歯石を除去していきます。この蒸散作用も組織表面の水分にのみ反応するため痛みや不快感が少ないです。

以上、簡単に歯科用レーザーについて書いてみました。